大澤 秋津 official blog

或る市民ランナーの内省録

大学の入学式までにやっておきたいこと

 最初にお断りさせていただきますと、今回は大学進学が決定したかつての受験生の皆様を対象に執筆しています。また、‟LINEグループを駆使した人脈づくり” みたいなアドバイスを期待されておられるリア充120%のキャンパスライフを夢見るパリピ予備軍に御所属の方は、お門違いも甚だしい限りですので、すぐにお引き取りをお願いします。

 僭越ながらついでに申し上げますと、コロナ禍によりそのような大学像は古き良き平成の遺産となりました。賞味期限、消費期限共に過ぎております。直ちに除隊され、主体性と自意識が向かう方向をSNS以外の現実世界に見出すことをお勧めします。

 

 それでは、本題。大学4年間を ‟どう過ごすのか” によって、その先の将来に(決定的とまでは言えないけれど)多大な影響が伴う以上、‟入学式が新生活のスタートライン” という昭和的認識はさっさと捨て、そろそろ待ちの姿勢から実行動に移行すべきタイミングです。

 法規に触れない限りにおいては、フライング・スタートは常に選択肢の一つ。意識の高い学生や、卒業後に競うであろう海外の企業では、そういう発想自体がごく自然だったりします。そして、日本が平成という約30年に渡って国際競争から周回遅れを重ねに重ねた要因の一つがこの感覚の欠如、と僕は考えてます。

 あの時代を良くも悪くも象徴していた歌謡曲の様に、常にNo.1であり続ける必要はないけれど、‟正解”を何一つ示さずに‟ダメ出し”だけは容赦なくしてくるようになってしまったこの社会が、何もしない人間をそれだけで Only One であると認めてくれるだろうか。想像力が重要だ。そして、それ以前の問題として、‟そもそも何らかのフィールドに立つことを拒むのであれば、その時点で人は Only One ではなく、誰しもただの No One に過ぎない”という前提を欠いている。

 

 ……まぁ、例の歌謡曲功罪はさておき、入学式までのこの時期、この時点ですでに大きな岐路に立っていることをまずは意識して、立ちすくんだままの思考停止(※大学生なら‟エポケー”と読もう)からの脱却を図ろう!

 という訳で、入学式までにやっておきたいことを個人的経験と独断及び美意識に基づいて具体的に列挙すると、以下の5つ!

  1. 専攻する学問の独習

  2. 第二外国語の独習

  3. 受験英語を実用レベルへ転換

  4. ICTスキルの習得

  5. 4000字以上の論文を書ける文章力の習得

f:id:dragonfly_dynasty:20200928163207j:plain

あと、自炊やお弁当作りにも是非チャレンジを!

 

 

1.専攻する学問の独習

 

 独習と記しましたが、予習とほぼ同義です。大学の講義が始まるまでに、自分の専攻についての概要くらいは、wikiレベルでいいのでざっくり把握しておこう。その過程でいろいろとわからないこと、難しすぎる用語や概念にぶち当たります。それらを理解し、さらにwikiや高校の教科書レベルではまだ扱われないような学問の最先端を学ぶのが大学という高等教育機関

 わからなかったことがわかるようになっていくプロセスって、楽しいものです。独習してわからなかったことを、専門家に解明してもらうのが講義。「フロイトの ‟es” ってwikiじゃわからなかったけど、この領域を指してたのか!」みたいな発見と喜びは自分から創り出すもの。「大学の授業はつまらない」とかすぐ言い出すのは、たいてい予習をしてないだけの高校四年生

 強いて言うなら、独習段階であってもwikiだけでなく紙の専門書とも‟格闘”しておこう。わかりやすいものだけ読んでると我々の頭脳はいずれ退化するので。

 

 

2.第二外国語の独習

 

 ドイツ語やフランス語、中国語といった日本人大学生にとってのメジャーな第二外国語に関する教材は、NHKのラジオ or TV講座スマホでも見れるPodcastYouTubeと非常に充実しています。......(この点においては)いい時代になったものだ。ただし、これらのわかりやすい丁寧なコンテンツに、紙の文法書を先に挙げた理由から加えることをお勧めします。

 僕は授業が始まる二週間以上も前から紙の辞書と文法書でドイツ語の独習をスタートしました。最初は語尾変化もわからず一つの単語を辞書でひくのに5分以上かかってました。文法書を読むにつれ「時制と態は英語に近いけど語順はどうなってんだ?」みたいな疑問も募る一方。そんな積年の謎が授業で解明されていくのがたまらなかった。1年時のドイツ語は週3で、ドイツ人の先生を含めた各先生全員が、この世の真実を諭してくれる聖人君子のように思えました。

 苦言も少々。大学生になったら「習ってないからわかりません」は甘え、という認識を持つべきです。高校四年生のままだと、折角入った最高学府もただの就職予備校

 

 

3.受験英語を実用レベルへ転換

 

 「受験英語は役に立たない」という‟大きな声”が散見される今日この頃。実際に海外や英語が使われる現場に行かないとわからないことが多いのも事実ですが、受験英語でやってきたこと、特に文法は(丸暗記でなくちゃんと原理を学んでいれば)無駄にはなりません。‟大きな声”を発する主は、単に自身の応用力の欠如に無自覚なだけ。

 大学からの英語の勉強は、留学したいならTOEFL、バランス重視なら英検のように、まず自分がこの先どんな分野で英語を使っていくのかを設定した上で、それに準じた検定試験などをペースメーカーに進めること

 注意すべきはTOEICTOEICは実用的な英語力を測定する試験ではありません。国内の一部の企業では就職の際に重視しますが、海外での認知度は皆無。何より、TOEICのスコアは、飽くまでTOEICという限定的な試験に対してのみの得点能力の指標に過ぎません

 英語は道具です。そして、その道具を使って何をするかが問題になるべきTOEICのスコア・アップにのみ専心するのは、高級万年筆に投資してその書き味や手触りに悦に入り、結局小説を1ページも書かないのと同義

 

 

4.ICTスキルの習得

 

 このコロナ禍により日本がICT後進国であることを我々は再確認した次第ですが、その原因はPCの低い所有率ガラケーを売るために電話回線でのネット接続料を高額に設定したツケを未だ我々は支払わされているのです。大学4年間でどのくらいPCが使えるようになるかは、どんな仕事に就こうとも、将来を大きく左右します

 悪い事は言いません。大学入学の記念に何か買っていただけるならば、PC一択ですスマホタブレットは何かを創り出すためのデバイスではなく、使い続ける限りずっとコンテンツの消費者に終始したまま。

 いきなり動画編集やDAWにチャレンジする必要はありません。まずは文書作成ソフトの最低限の使い方を覚えると同時に、ブラインドタッチをマスターしておこう。ゲーム形式の無料アプリで構わないので、入学前に ‟思考しながら同時に文字入力ができる” 感覚を身につけておくべきです。

 

 

5.4000字以上の論文を書ける文章力の習得

 

 大学のレポートはだいたい原稿用紙10枚(=4000字)以上が ‟相場”。これは高校4年生の知能レベルだと、とても長く感じる分量です。でも、このくらいの文章を2~3回くらい書き上げると、そのうち苦も無く書けるようになります。入学前に限界突破しておけば、課題のレポ―トの負荷も軽くなります。......ちなみに僕の大学1年時の夏期休暇中のレポートは計8本。あれで相当鍛えられました。

 その際に必須なのが前述のブラインドタッチ。習得に時間はかかりますが、‟試行しながら同時に文字入力ができる” ようになると、文章を書くスピードだけでなく、細かな推敲や全体の構成レトリックなどほぼすべての領域が向上します。

 PCをすでにお持ちであれば、練習用(?)に課題例を出しておくので好きなものに取り組んでください。

  • 高校生活 or 受験生活の体験記
  • コロナ禍で感じた問題
  • がっかりした漫画or映画orゲームの批評

 多分、原稿用紙5枚(=2000字)辺りまでは比較的楽に書けると思います。そこから先へ進むためには、内省しながら自分の見解を掘り下げる必要があります。この力を入学前に鍛えておくと、教授陣の難しい話もちょっとだけ理解しやすくなります。

 

 今回は高校を卒業し、大学入学を控える皆様にいくつかアドバイスさせていただきました。この状況下、合格祝賀会が3年連続で開催できないことに加え、宇都宮校で共にがんばってきた駿優生に何かメッセージを、と思いこの場をお借りした次第です。

 この一年が人生で一番努力したピークとならないよう、これから先、自己ベスト更新を続けて欲しいと願っています

 

 

 

Current English from Headlines vol.7

 今回のウクライナ侵略‟伏線”について、やはり‟巨匠”2018年時点ですでに認識されていました。その作品の一読者でありながら、自分の勉強不足が恥ずかしい限りです。

 

www.news-postseven.com

 

 ‟現代史の教科書”‟国際関係の入門書”としても名高い『ゴルゴ13』を僕が読み始めたのは、約20年前、このキャリアをスタートさせた頃でした。一時期ハマりすぎて、毎日のように帰宅途中に文庫版を複数買って一晩で読み……を繰り返したため、財政状況健康状態に多大な影響が出る程に(※通称‟ゴルゴ破産危機”)。

 昨年のさいとうたかを先生の訃報に際して書いたものが‟下書き”に残っていますが、まだ気持ちの整理ができていない部分が多く、暫くは日の目を見ることはないと思います。

 (当ブログを御覧になっている方に果たしてゴルゴ読者がどれ程いらっしゃるのかは見当もつきませんが)現時点で僕が一番好きなエピソードは『1万キロの狙撃』。今思えば、キャリアの初期にプロフェッショナルとしての姿勢イチロー選手‟デューク東郷”氏から学ぶことができたのは大きかったなぁ。

 

f:id:dragonfly_dynasty:20220325111904j:plain

個人的には、極力‟キーウ”の方を使うようにしています。

 

Current English from Headlines vol.6

  先日、某国営放送局で2018年に制作された海外のドキュメンタリー番組を見て、今回のウクライナ侵略の‟伏線”が、この時期からすでに存在していたことを再認識しました。そして「2018年の俺、ボーっとしてんじゃねぇ!払った受信料分くらいは元をとっとけ!」と自問自答無限自虐

 ちなみに某国営放送局で紹介される海外のドキュメンタリー番組でかつて扱われた内容は、センター英語( ex. outsourcing )や共通テスト( ex. gig work )で約半年から一年後に登場するケースが結構あります。

 まぁ、だからといって「試験に頻出のテーマが扱われるから見ておくように!」みたいな駆け出しYouTuberみたいなアドバイスを英語講師がするようになったら職業生命も末期。そして「試験に出るから見よう!」だったら……大学に入った時点で、もうそれ以上、先に進むことは不可能

 僕がかつて所属していた哲学科には意識の高い学生が多く、彼らの存在がとても刺激になっていた一方、新聞やニュースに触れない人間もやっぱり少数いました。後者が就職活動で慌てて日経新聞を購読し、歴代首相名を必死に覚える姿を見て、前者の一人が一言、「(彼らも同じ哲学科だけど)生き方に哲学が感じられないよね」。

 

f:id:dragonfly_dynasty:20220325111900j:plain

tollのような多義語は原義を把握しておこう

 

Current English from Headlines vol.5

 時事英語対策も含めて、自分の勉強法を見直そうと思った大きなきっかけは、先月のウクライナ侵略でした。

 自分の生きている時代に、しかもこの21世紀に大規模な軍事侵略が本当に起こる可能性を現実のものとして完全に想定できていなかった心的態度以上に、自分の無知を恥ずかしいと思いました。要は、いつの間にか平和ボケになっていた自分が許せなかったということ。

 なので、この約1ヵ月間、ネットやTVで紹介される専門家ではない人々の意見に対してはこれまで以上に意識的に距離を置きつつ、識者の見解に触れるように努めています。

f:id:dragonfly_dynasty:20220325104749j:plain

来週、僕もbooster shotです。



 

Current English from Headlines vol.4

 僕にとって ‟ 自分で探して、調べて、まとめる “ 際の必須アイテムは、電子辞書。かつては紙の辞書原理主義ジーニアス左派でしたが、特に串刺し検索(横断検索)や成句・例文検索といった検索性の観点から‟改宗”しました。

 

 この仕事をしていて「ちょっと残念だなぁ……」と思うことの一つは、電子辞書の機能を使いこなせていない生徒が年々増えていること。せっかく高校入学のお祝いに買ってもらった高性能のデバイスも、検索性を活用しなければ紙の辞書以下!

 電子辞書の機種を指定or推薦するのであれば、教育機関リテラシークラスを開設したり、せめてお勧め動画のQRコード一覧のプリント配布くらいはやっておかないと。

 そして、普段から単語を調べる際は、英和辞書→英英辞書の串刺し検索で、英語のニュアンスや原義をチェックすることを習慣化する重要性を説くべきです。将来の英語力を左右するは、この先どのレベルまで英語ができるようになるかの到達可能なラインを決定するのは、結局この小さな積み重ねです。

 

f:id:dragonfly_dynasty:20220318162240j:plain

受験英語だとbackdropはこっちの意味で狙われます!

 

Current English from Headlines vol.3

 ‟ 臨界期critical period)” を過ぎてなお、英語との悪戦苦闘を継続していこうとするを捨て切れない場合(僕自身もその末席に名を連ねる者ですが)、やはりどこまで英語力を伸ばそうとも単語学習は必須です。

 このキャリアをスタートし、英語に専念していった頃、「いつか単語力不足に悩まずに済む日が来るはず」と、マリトッツォに業務用メイプルシロップ一斗缶分を並々注ぐほどの甘~い幻想を抱いていたものでしたが、すぐに「まぁ、そんな訳ないな」と気づきました(……早めに気づいておいて、ホントに良かった)。

 

 (個人差はありますが)英検準一級相当のレベルから先へ向かおうとするならば、単語帳で単語を覚えられなくなってきます。「一日何ページ進める」とか「一日単語何個覚える」とかいう勉強法は、あるレベルまでは頻出の英単語に対してのみ有効ですが、普遍的に通用するアプローチではないのです。

 僕も英検1級からは旺文社の『パス単』を買って対策をしましたが、単語学習のメインではありませんでした。王道は ‟ 自分で探して、調べて、まとめる ” 単語帳は、飽くまでも隙間時間に利用するチェックリストという位置付け

 

f:id:dragonfly_dynasty:20220318153119j:plain

spikeは受験英語でも頻出!

 

 

 

Current English from Headlines vol.2

 前回「他山の石にでも」みたいなことを書きましたが、もしご覧になって興味を持たれた場合の注意点を念のために記しておこうと思います。

 

 当企画は受験生を対象としたものではありません。以上。 

 

 ……これだとちょっと説明が乱暴なので、もう少し詳しく。基本、どなたがご覧になっても構いませんが、出典は海外のニュースサイトなので受験英語では扱われないレベルの単語や表現も一部含まれます

 なので、単語力に自信のない受験生は、まずは基本的な単語帳を最優先で進めて欲しいのです。単語力は英語の基礎体力!

 むしろ、大学受験を終えた方や英検1級への挑戦を考えている方の他山の石になれば幸いです。

f:id:dragonfly_dynasty:20220316172247j:plain

御時世柄、暫くは重いニュースが続きます