大澤 秋津 official blog

或る市民ランナーの内省録

グーズベリ―の存在感

 以前、都内でタクシーを利用した際にドライバーの方から「郡山は外食産業の激戦区」というお話を聞く機会がありました。その時偶然、大学時代に同級生が「(飲食業を営む)叔父の話だと、‟あそこ(=郡山)は生き残りが相当難しい地域”」と言っていたことを思い出し、何ら脈絡のない断片が奇妙に、でも何かの必然性を伴って一致したような気がしました。

 ……普段は特に意識することはありませんが、確かに郡山の外食産業のレベルは(控えめに言っても)相当高い方に入るんじゃないかな、と思います。

 

 数年前、美容師の方と料理&食べ物の話で盛り上がってた際に教えていただいたのが今回の舞台(?)となる『自家製麺工藤』というお店でした。

https://twitter.com/jikaseimenkudoh

 髪を切っていただいた直後、お店に直行したのですが残念ながらその日は休業日。そして今年の1月にふと思い出すことがあって初めて訪れたのですが……もう、一発でファンになってしまいました!

 その日の注文は一番無難(?)な‟つけ麺”でしたが、店内のボードに謳っている通りスープのバランスが絶妙で、のどごしのよい麺との相乗効果も抜群。大盛にしなかったことを途中から深く後悔しました。

 「これは一通りメニューを制覇しなければ!」と決意した矢先……こういう状況になってしまい、そのチャンスは保留にされたままでした。

 

 暑さと疲労で食欲が少し低減してきたなと感じた先週、久しぶりに訪れてみたのですが、お店のインスタで‟予習”している時から気になっていたのが『冷やしのおしおらあめん』なる一品。

 断片的な画像と共に踊る「塩レモンで夏バテ知らず!」「おくちにもからだにも嬉しい感じにまとめました」「今回は豚バラ軟骨塩レモン煮込みグーズベリ―ソースをのっけたやつ」という誘惑の文言にあっさり無条件降伏し、全体像が描けないまま注文してみると……

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気がつくとスープまで飲み干していました

 塩味をやや抑えたスープ大葉のアクセント!最初の一口で食欲が一気に戻ってきました!

 なによりも、このグーズベリ―なる実の酸味と塩味の不思議な味わいが最後までシンプルな風味に‟味変”を効かせ続けていました。形容し難いのですが、梅干しに近い味をイメージしていただけるといいかもしれません。食欲があまりなかったはずなのに、今回もやっぱり大盛にしなかったこと途中から後悔する始末

 

 それにしてもなんとも不思議な味わいのグーズベリー。お会計の時に「初めて体験する不思議な味でした」と感想を伝えると、店主の方から「実はスグリを少しカッコつけて英語にしてみました」という説明をいただけました。

 彼のおばあさんが昔、スグリでジャムを作っていたことにヒントを得たそうです。その後調べてみると、確かに「生食のほかジャムや肉料理のソースに使う」と電子辞書の『ブリタニカ国際大百科事典』にありました。でも、これを冷たい塩らーめんに組み合わせるという発想には驚きです!

 

 『冷やしのおしおらあめん』最高でした!そして、それと同じくらいに深い感銘を受け、(ともすると一方的な)共感を覚えたのは、(職種は違えど)店主の方の創意工夫を凝らし新しい可能性を探求しようとする姿勢でした。

 この日、僕は「これから当分の間、ここに通うことになるんじゃないかな」と感じながらお店を後にしたのですが……

 

 

 

 

次回予告!

『それはまさしく‟飲む焼き魚”』