大澤 秋津 official blog

或る市民ランナーの内省録

それはまさしく‟飲む焼き魚”

 リニューアル・スタート第1回目にして早くもその方向性を見失い「もはやただのラーメンブログなのでは?」という感も否めない当ブログですが、有言実行のポリシーを貫き、ブレることなく前回の予告通り今回も『自家製麺工藤』についてリポートします!

 

 ~ 前回までのあらすじ ~

 

 本人の計画性の欠如から授業の準備と夏期講習テキストの編集に追われ、加えて6月の蒸し暑さマスク着用による体力消耗満身創痍某英語講師。そんな彼を救ったのは、苦行の果てにスジャータブッダに提供したミルク粥の如き一杯の『冷やしおしおらーめん』であった。そして無事、夏期テキストを完成させ、一週間の授業を終えた彼の足は運命に導かれるかの如く、かの地へと再び向うのだった……

 一方、迫りくる小惑星衝突に備え迎撃システムの完成まであと一歩の国際エンジニアチーム。そんな彼らの元に届いたのは作戦総司令部からの非常なる解散命令。博士の死を無駄にできないと抵抗する組織内部にはまさかの内通者が。絶体絶命のピンチに際し、博士が生前に残したメッセージの秘密が今、解明される!

※ 念のため注:後半は適当な嘘&妄想です!)

 

 ……という訳で、お仕事の帰りに立ち寄った『自家製麺工藤』は、夕方6時の開店5分前にしてすでに3人が待機状態。開店を待ちながら例の如くお店のインスタで‟予習”をしていると、前日の投稿に

夏になるまであと少し

今のうちに

あったからあめんやっちゃおうシリーズ

今回は真鯛達が入荷したので

明日は真鯛のやつです

今から炊きますゆえ

詳細は明日朝UPいたします☆

と、画面いっぱいの真鯛を背景に素敵なお知らせが!この時点で(注:開店前)僕の心は決まってしまいました。

 

 恐る恐る「……‟真鯛のおしおらあめん”ありますか?」と聞いてみると、「ラッキーでしたね。あと4食分だけ残ってますよ」とにこやかな応対。これまでの後悔から流石に学習済みなので「では、それを大盛で!」

 

 

 ……そして、ついに感動の初対面!

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やっぱり気がつくとスープまで飲み干していました

 これまで食べた‟鯛そば”の類から、澄んだスープを予想していたので少し意外でしたが、このスープには最初の一口目から圧倒されてしまいました!

 鯛ベースのあっさりスープではなく、鯛そのものを食べているかのようなしっかりとした味わい。しかも魚の身を炙った香ばしさが一口ごとに食欲を刺激するので、重厚な風味にも関わらず最後まで飽きることは全くありませんでした。素人でも、焦げ臭さを出さないレベルで香ばしさだけをスープに引き出すのは難しいことだと思いました。

 カイワレ大根や青菜のかすかな苦みのアクセント、スープをスポンジのように吸った重たい麩、太いのに柔らかなメンマ、そしてそれぞれ違った味わいを楽しめる2種類のお肉……具の全てにまで、一切の妥協はありません!

 

 夢中で食べ終え、暫しの放心状態の後、お会計の際に店主の方から「今回は‟飲む焼き魚”を目指した」ことを伝えられ、それこそが僕が何とか言語化して伝えたかった感動の本質だったことを悟りました。

 お話によると、以前、冷凍の鯛で試したところドリップが出て風味が損なわれたため、新鮮な鯛を下処理をした後に鱗ごとバーナーで炙ってからじっくり炊いたそうです。

 一度にたくさんは準備できないスープだと感じ、最後の一滴まで味わい尽くしましたが、やはり寸胴鍋いっぱいに炊いてその分しか取れない貴重なスープでした。

 

 店主の方の「また良い鯛たちと目が合ったらやりますよ」という言葉に期待しつつ、帰り道、先日聴いていたNHK『実践ビジネス英語』のテキストに載っていた英語の格言を思い出しました。

To be prepared is half the victory.

― Miguel de Cervantes

(Spanish novelist and playwright, 1547-1616)

準備していれば、半ば勝ったも同然である。 

 

 『自家製麺工藤』から改めて学んだことは、よいものを作り、届けるならば準備の段階から一切の妥協は許されない、ということでした。

 時々、この‟真鯛のおしおらあめん”の味を思い出しながら、僕も準備を続けていこうと気持ちを新たにした土曜日の夕方でした。