福島ファイヤーボンズ 2020-2021シーズンの振り返り その①
はじめに
きっかけは2019ー2020シーズン終盤のvs愛媛オレンジヴァイキングス戦でした。中盤から終盤にかけての驚異的な逆転劇、会場の一体感、何より最後まで全力で戦う各選手やチームの姿勢……これらに圧倒され、会場を後にする頃には「地元のプロ・スポーツチームが這い上がっていく過程をただ見守るのではなく、全力で応援していきたい!」という気持ちになっていました。
2020ー2021シーズンは開幕前から選手名鑑などで各チームの情報を分析し、1ブースタークラブ会員として可能な限りホームの試合には足を運んで(声が出せない代わりに)精一杯手を叩き、最終戦を終えた後には(結果に対してはいろいろと思うことはあっても)「チームや他のブースターの方々と共に最後まで一緒に戦い抜いた」という気持ちと誇りが残りました。会員になってよかった。そして、全ての関係者の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。
1シーズンを通してある特定のチームを、しかも地元のプロ・スポーツチームをここまで熱を入れて応援するというのは初めての経験だったので、最終戦翌日から家人共々、‟ボンズ・ロス”に陥ってしまいました。
新体制が発表され、来シーズンの開幕が今から待ち遠しい限りですが、「新たなシーズンが始まる前に、一度自分の中で昨シーズンを振り返ってみよう」という気持ちもあり、ずっと‟下書き”に眠らせておいた原稿を現時点での情報と僕なりの視点からまとめていこうと思います。
以下は飽くまでも1ブースターの個人的感想です。でも、これをきっかけに福島ファイヤーボンズに興味を持ってくださる方が一人でも増えれば幸いです。そして、そういった方々が新シーズン、試合会場に足を運んでくださり、共に応援できる機会があれば……最高だと思います。
2020-2021シーズン概観
コロナによる打ち切りとなった2019ー2020シーズン、ボンズの最終順位は主力選手のケガなどが響いて東地区第5位(全6チーム)、全体第14位(全18チーム)。
翌2020ー2021シーズンは、前シーズンとほぼ同じラインナップに新外国人選手としてエリック・マーフィー選手が加わり、また、3シーズンぶりに菅野翔太選手と友利健哉選手がチームに復帰しての開幕となりました。
シーズン開幕から序盤にかけては上位チームに対しても対等に渡り合い、一時は地区2位(全8チーム)の位置に。僕が開幕当初のホーム戦で感じた感想としては「昨シーズンよりも確実にチームの完成度が上がってのスタートで、このままいけばプレイオフはまず間違いない」というものでした。
……今振り返れば、序盤の好調はチームの完成度云々ではなくむしろ他チームの準備の遅れによるものだったと思います。ボンズの新加入が実質1名だったのに対し、B2をぶっちぎりの1位で制してB1進出を決めた群馬の新戦力は8名(※全員がB1からの移籍)、2位の茨城は5名(内、B1経験者は3名)。一方、開幕時点でのボンズのB1経験者は計3名。
コロナの影響で外国人選手のチーム合流が遅れたことに加え、シーズンオフに補強をしっかり行った各上位チームがチーム・ケミストリーの構築に試行錯誤していた一方で、昨シーズンとほぼ同じメンバーで臨んだボンズには開幕から序盤にかけて、完成度の高さというアドバンテージがありました。ただ、表現を変えればそれはチームとしての‟伸びしろ”が最初からかなり限定された状態のスタートだったのです。
そして各上位チームが完成度を高めていった中盤以降、主力選手のケガなどの要因もあり、チームは外国人選手を入れ替えるものの根本的な立て直しが図れないまま連敗を重ね、最終戦を待たずにプレイオフ進出を逃し……東地区6位(全8チーム)、全体10位(全16チーム)という結果でシーズンを終えました。
問題点を考える前に
個人的に昨シーズンのターニングポイントは、2021年12月9日の群馬戦の‟ブザービーター未遂”からの9連敗とその後の7連敗だと思っています。また、この時期に負傷者が続出し、悪い流れを立て直すことができなかったことも大きいのですが、チームとしての課題を考える前に見落としてはいけない最大の要因について触れたいと思います。
それは、(前述したように)昨シーズンはほとんど補強のないまま開幕から戦い続けなければならなかったという点です。某アメフト漫画の表現を借りれば「ジャンケンでいえばグーとチョキだけで戦っていた」状態に等しく、立て直そうにも打てる手がほとんどなかったということです。
確かに連敗中はフラストレーションが募る一方でした。また、チームが苦境の中、いろいろな意見や批判も目にしました。でも、今改めて考えると、限られた選択肢の中で最後まで最善を尽くそうと、選手が、スタッフが、そして我々ブースターがもがき続けた結果の地区6位だったと考えています。
また、もともと強いチームで勝ち続けるよりも、現戦力を最大限に活かしながら負けないように戦う方がずっとハードルは高いはずです。この困難にHCとして最後まで立ち向かっていった森山HCが仮に指揮をとっていなければ、目も当てられないようなシーズンになっていた、と僕は考えています。
戦力がしっかりと補強されて迎える新シーズンこそ、森山HCの本領が発揮されるという期待に今からわくわくしていますが、補強がほぼない状態でスタートし、選択肢が極端に限られた昨シーズン、いったい何が問題だったのかについて、1ブースターとして感じた点を次回は振り返ってみたいと思います。