大澤 秋津 official blog

或る市民ランナーの内省録

激走!ふくしまシティハーフマラソン2023

 昨年の円谷メモリアルマラソン&今年の郡山シティマラソン2大会連続でハーフマラソンのタイムが悪化していた僕にとって、今回の『ふくしまシティハーフマラソン2023』はランナーとしての起死回生をかけたレースでした。

 一方で「初開催である以上、多少のトラブルは避けられないし、小心者が気負ったところでロクな事はないんだから、楽しんで走ろう!」と、コースの下見&試走は一切行わず3日前に届いたばかりのシューズで本番に挑むという、これまでの“練習と準備を自信にする”というポリシーを敢えて放棄した実験的側面もありました。

ゴール後、最高の青空!

 結論から言えば、自己ベストよりも6分遅いものの、自身歴代第3位のタイムでゴールを切り、これまで参加した大会の中で一番気負わずに最後まで走れたレースとなりました。

 すべては大会関係者やスタッフ&ボランティアの方々、そしてこの大会で御一緒できたランナーの皆様のおかげです。ありがとうございました!

 

 以下、当日を時系列順にふりかえります。

 

 朝4時起床&4時半出発……福島市内の交通網を一部ストップさせる都合上、仕方がないのかもしれませんが、8:00スタートはキツいなぁ。次回はせめて9:00スタートでお願いします(涙)。

 ガラガラの高速道路を福島飯坂ICで降りて指定の駐車場へ。車を下りる直前まで練習で使用していたミズノのウエーブリベリオンソニックを履くか、それとも3日前に届いて2日前に3km試走したリベリオンフラッシュにするか、迷いに迷って後者をチョイス

 「お隣、失礼します」とシャトルバスで僕の隣に座られた年配のランナーの方は、いわき在住で前日車中泊とのこと。「僕は走り始めたのが56と遅くてねぇ」と穏やかな口調ながら、話をしているうちにウルトラマラソンまで走られるわ、フルのサブ4やハーフの100分切りは当たり前だわ、前日にコースの試走も兼ねて25kmも走るわという、とても71歳には見えない大先輩でした(汗)。

 雑誌やネットなどで、市民ランナーの所謂ガチ勢の中には常軌を逸した変態紳士級のバケモノの方がいらっしゃることは存じ上げておりましたが……ホントにいたよ。そんな彼から最後にかけていただいた「(僕のラン歴を踏まえ)まだまだ伸びしろがありますよ」というお言葉は、本当に励みになりました。

 バスを降りてから更衣室→荷物預かり所の動線は無駄なくスムーズだったものの、トイレ不足で大渋滞。僕の前に並んでいた方も、僕と同様ソックスもシューズもウェアもミズノだったので、勝手に「この人は同志だ!」と信じて「同じ様なミズノの格好で奇遇ですね」と話しかけてみると、彼は盛岡から前日泊で参加とのこと。シューズの話で盛り上がっただけでなくコースの起伏状況についても教えていただきました。

 スタート約30分前に所定の場所に集合とのことでしたが、ここからスタートまでが実に長く感じました。ビビりの僕を30分以上緊張状態で生殺しにするのは放置プレイというか一種の拷問です。ギリギリまでトイレに行きたいランナーもいれば、スタート前は誰だってけっこう神経質になりがちです。そのような状況で伝統芸能のパフォーマンスを実施してもマイナスにしか作用しません次回からは実際の走る人間の心情をより尊重していただけるような方向での改善を希望します

 

 出走直前、大会ゲストの増田明美さんが我々ランナーのすぐそばまで出向いてくださり、よく通る声で「みなさん、素敵な旅を!」と声をかけてくださいました。これが実に心に沁みるお言葉でした。気負うことなく、初開催の大会を、おにゅーのシューズと対話しながら走るという今回の大前提最高のタイミングで思い出すことができました。

 

 そして、いよいよスタート……だったのですが、ランナーが大渋滞するスタート直後のただでさえ広くない道路に何故か車が停車していて顰蹙を買っていました。あれはなんだったんだろう?

 個人的に苦手意識のある最初の5kmですが、初めて走るコースの様子を観察しながら周囲のランナーに引っ張ってもらい、必要以上に慎重になることなく快調な走り出しとなりました。

 誤算は高低差。パンフレットで一応把握はしていたものの「ふふっ、舐めてもらっちゃあ困る。こう見えて僕はラン歴3年弱の初挑戦の地獄坂で2時間を切った男だぜ」と高を括っていました。陸橋と市内の川をまたぐ橋のマイルド且つ長いアーチは、特に後半になればなるほど予想以上にこちらの体力と足にきます。

 17km前後のところで足がほぼ売り切れたような感じになり、これまでのスピードを維持することが難しくなる中、「ごめんよ、俺が不甲斐ないばかりに」とその性能を引き出せないことをおにゅーのシューズに詫びながら走り続けました。エイドが豊富だったそうですが、こちとら水とスポーツドリンクのみを補給するのがやっとでした。

 今回のコースは、ゴール地点の競技場の前で長めの折り返しがあるというのもなところ。スタート前の放置プレイに続くゴール前の焦らしプレイといったでしょうか。9時以降、気温も予想以上に上がり、ちょっとふらふらになりながらもトラックに入って一気にスプリントをかけ最後だけ華麗にゴール……のはずだったのですが、なんとそこからトラックをもう一周しなければならなかったのです。こればかりは僕の確認不足なので自己責任ですが「ふざけんな!もぅ走れねぇ!」がその時の心情でした。さっきのスプリントで残ったエネルギーを完全に振り絞ったものの、最終コーナーからもう一度スプリントを敢行!ずっと付かず離れず先頭を走っていたランナー数名を一気に全員抜いて、今度こそ本当にゴールです!!

 

測定ポイント スプリット ラップ 通過時刻
Start 00:00:35   08:00:35
5km 00:25:27 0:24:52 08:25:27
10km 00:51:18 0:25:51 08:51:19
15km 01:16:43 0:25:25 09:16:44
20km 01:43:42 0:26:59 09:43:42
Finish 01:48:45 0:05:03 09:48:45

 

 ゴール後、呼吸が落ち着くのに10分以上かかりました。地元の中学生ボランティアの少年が「汗だくだから」と辞退したにもかかわらず、ふらふらの僕のランナータグの回収を手伝ってくれました。

 どこかのカップルの方がゴール後にプロポーズされたそうで、そんな彼らを遠くから祝福した後、僕が向かったのはトラックの第3コーナー手前。自分が死ぬほど苦しんだ“トラックあともう一周”を、これからゴールへと向かって走ってゆく後続のランナーに手を叩きながら「ナイスラン!」「あともう少しです」と声掛けしました

 

 ゴール後、お土産の引き換えに並んだものの快晴の中の長蛇の列に耐えられずシャトルバスへ。指定駐車場で降りたところ、スタート前にトイレの列でお話しした盛岡からいらしたランナーの方とばったり。お互いの戦況を報告し「なんとか自信は取り戻せました」と伝えると、奇しくも彼からも「まだ伸びしろがあるってことですね」とのお言葉。どこかの大会での再会を約束し、それぞれの車に向かいました。

 

 初開催なので今後の改善点となる部分はいくつかありましたが、それでもやっぱり楽しかったし、結果も含めてかなり充実した大会でした。おかげで、ここ最近ちょっと気負いすぎて走っていたことも再認識。スタッフやボランティアの方もとても献身的でした。なので、駐車場を出る際、誘導していただいた方を勝手に代表ということにしてお礼を述べました。

 「ありがとうございました。来年も走りにきます!