To make the end of 2021 part 2:本番を制するのは‟受験体力”
前回は入試本番を想定した時間配分の習慣化について言及しましたが、今回は入試当日全体を視野に入れた上での‟受験体力”について述べていこうと思います。
ちなみに受験体力という用語(?)はフォーマルなものではありません。以前、たいへんお世話になった先輩の講師の方が、‟入試本番特有の緊張状態下でも途切れることのない集中力”を普段から養成していくことの重要性を高校生に説いていた際に用いられたものです。とてもいい言葉だと思い、それ以来時々使わせていただいております。
前述のように、入試当日はその独特の雰囲気や連続した緊張状態により、我々の集中力と体力は普段の勉強とは比べものにならないようなレベルで削られ、消耗していきます。
この一種の極限状態は、日頃からいかに本番を想定し、自習室や模試で敢えて自分にプレッシャーをかけようと試みたところで完全に再現できるものではありません。
よって、「入試本番はいつも以上に確実に消耗する」を前提に据え、「ならばその極限状態の中でも途切れない持久力をつけていく」ことも準備の一環とすべきです。
入試本番、最初の1教科をいい手応えで終えたとしても、それ以降のどこかで集中力が落ち、そこから立て直すことができなければ無意味。全体としての得点は壊滅的なものになってしまいます。これがよくある本番で崩れていくパターン。
むしろ、たとえ自己ベストを更新できそうな科目が一つもなくとも諦めることなく、入試日程全体を通して最後の1教科まで普段に限りなく近いパフォーマンスを維持していくことが重要です。
より具体的なアドバイスを試みるならば、この時期に流行のポモドーロ・テクニック(=25分勉強→5分休憩を4セット繰り返した後、長めの休憩をとる)などに代表されるような勉強法を続けるのは絶対NG。解答時間が25分なんて科目は共通テストにはありません。......そんな勉強法を続けて、本番、25分前後に集中力が切れたらどうする?そしてその責任を誰が、どのようにしてとるのか?
年末のこの時期は各科目、本番の解答時間に+α(10分以上)で受験体力を養成する時期。年が明けからは、本番の解答時間内に完答することを身体で覚えていく時期です。
受験体力養成のために本番の解答時間に基づいた勉強をすることと同じ位に重要なのは、本番のスケジュールに基づいた休憩時間をとること。そして、当日のスケジュール以上の休憩時間をとらないこと。
当日の休憩時間は次の科目に向けて集中力を回復するための貴重なインターバル。なので、その限られた時間で出来るだけ効果的にリフレッシュするためのリハーサルも今から重ねるべきです。
終わった科目のことを見直してあれこれ振り返ったり、自己採点するのは愚の骨頂。やるべきは、次の科目で1点でも多くとれるような状態に自分をもっていくこと。
特にこのコロナ禍でのマスク着用が義務付けられた受験を踏まえるなら、休憩時間に意識したいのは酸素の補給です。脳は取り込んだ酸素の約4分の1を消費するエネルギー喰いのモンスターマシン。マスクをつけたままずっと勉強することに慣れておくことは準備として不可欠ですが、それとセットで、短時間でどのように集中力を回復させるかを身に着けておくことも当日のパフォーマンスを左右します。
プロボクサーが試合前、1ラウンド(3分)とインターバル(1分)の練習を反復するのは試合のリズムだけでなく、1分でどのように立て直すかも身体で覚えていくためだそうです。
本日のまとめ:受験体力=持続力+回復力